誰かに何かをお願いしようとしたとき、意図せず相手がムスッとしたという経験はないでしょうか。
誰かに何かをしてもらいたいときに、どのような表現で相手に伝えたら対人関係を悪化させずに頼めるのか。その場の雰囲気とか、誰と誰との関係なのかとかによっていろいろ変わるとは思いますけどね。
今回の記事は、命令口調にならずきちんとお願いをするにはどうしたらよいか、というのがテーマです。文書ではなく、口頭のやりとりを想定しています。
命令っぽくならないように、どう気をつけたらいいのかを考えてみたいと思います。
語尾をちょっと変えるだけで随分印象が変わるという話でもあります。
命令とは
一般に、「命令」とは、
上位の者が下位の者に対して、あることをするように命じること
らしいです。「命じる」に当たるかどうかの判断自体、難しいですが。
会社で働いていると上司の命令があったりしますが、上司からの命令であっても、部下は気分が良くはないことが多いでしょう。
そもそも私は、「上司」と「部下」という言葉自体、あまり好きではありませんが。
命令されると、何らかの意味で「下位の者」と扱われた感じがする。だから、命令されるのはあまり気分が良くないんでしょうね。
ただ、上司の命令に部下がニコニコしながら従う場合もあるとは思います。その上司を「上位の者」だと思っており、よほど尊敬している(と感じている)場合ですかね。あとは、お給料を安定してもらいつつ自分の責任を減らすことを目指すという安定思考の部下にとっては、命令される方が楽なのかもしれません。
丁寧な命令
命令口調にならないために、丁寧語を使えばいいかというと、そうでもないと思います。
「丁寧な命令」になってしまわないか。これが要注意。
例えば、
「〇〇をしてください」
という表現。これが「丁寧な命令」です。
丁寧語を使っていますから、丁寧な感じはします。ですが、相手の都合も意向も確認せずに言い切っている感じです。もちろん場面にはよりますが、相手を不快にしてしまう可能性があります。
夫婦間での
「リビングが散らかっているので片付けをお願いします」
「そろそろ晩御飯作ってください」
「子どもと遊んできてください」
「今日は早く帰ってきてください」
これもどうでしょう?いきなりこう言われて、気分はいいでしょうか。
信頼関係があれば別なんでしょうけど、こういう言い方ばかりしていたら、相手はそのうち、
『やってくれて当然だと思ってるんじゃないか?』
と感じて不満に思ってしまうかもしれません。
あと、仕事の指示としてはこういう表現が普通なんでしょうけど、
「午後3時までに書類の整理をお願いします」
「取引先のところに届けてください」
「内容のご確認をお願いします」
といった表現はどうか。これも「お願いします」と言ってますが、これは本当の意味での「お願い」でしょうか。これも相手の都合を確認する前に言い切っている表現であり、「丁寧な命令」です。
今は他にやることあって忙しいから無理!
って心の中で叫んだこと、ありませんか?
「命令」を定義し直してみる
とかいろいろ考えつつ、勝手に、「命令」を定義し直すことにチャレンジしてみます。
命令とは、
相手の意向や都合を考慮せず、言い切る形で依頼すること
とかどうでしょうか。
他には、ぶっちゃけた表現になりますが、
従うことが当然という雰囲気で依頼すること
とか。あと、
上から目線で依頼すること
とかどうでしょうか。
ここまでこの記事を書きながら、要するに、みんな上から目線で接されるのが嫌いなだけ、という気がしてきました。
最初から「上から目線かどうか」というテーマでこの記事を書けばよかった。
命令とお願いとは、語尾が違う
命令とお願いとは、何が違うんでしょうか。
それは、相手の自由な判断に委ねている度合いだと思います。
語尾をちょっと変えるだけで、相手の自由な判断に委ねる度合いを改善することができます。
具体的には、
意向や都合を確認するために疑問形を使う
又は
主観(想い)をちゃんと希望の形で伝える
という形がいいのではないでしょうか。
確認するための疑問形
意向や都合を確認するための疑問形というのは
「〇〇してもらえないですか?」
「〇〇する時間はありますか?」
「〇〇をお願いできますか?」
こんな感じです。
ちょっとした表現、語尾の違いですが、疑問形にするだけで、相手に対して配慮をしている感じがしませんか。
「〇〇をしてください」と「〇〇をしてもらえませんか?」では、相手に対する配慮の度合いが違います。
「〇〇をお願いします」と「〇〇をお願いできますか?」も違います。
疑問形なので、相手は返事をする際に、自由に判断した結果を伝えることができるわけです。
上下関係があって断れない雰囲気があるならまた別でしょうけど、言葉自体からは「してくれて当然感」は出ていないはずです。
想いを希望の形で伝える
本当は疑問形を使って相手に確認してからお願いした方がいいとは思いますが、希望の形をちゃんと取って伝えられるのであれば、それもありだと思います。
「〇〇をして欲しいです」
「〇〇はしないで欲しいです」
「〇〇してくれると助かります」
「〇〇してくれると嬉しいです」
「〇〇されると悲しいです」
といった感じ。
ちょっとプレッシャーをかけているようにも思えますが、「そろそろ晩御飯を作ってください」と「そろそろ晩御飯を作って欲しいです」では、プレッシャーの度合いがちょっと違います。
「後片付けをお願いします」と「後片付けをお願いしたいと思っています」も、ちょっと違います。
まとめ
「命令かどうか」についてゴチャゴチャ書きましたが、本当は「命令」かどうかなんてどうでもいいですね。
要するに、言われた側が自由に判断できるような形でお願いできるようになりたいわけです。
気付かないうちにプレッシャーをかけてしまわないよう、気をつけたいんです。
だから、相手の意向をちゃんと確認するように心掛けたいわけです。
根本的には、相手を対等の人間だと尊敬することから、言葉の節々に態度が現れるものだとは思います。
とはいえ、語尾に気をつけるだけでも、対人関係を悪化させないという意味で、一定の効果はある気がしています。
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